バリアフリー化で安全な暮らしへ 介護リフォームについて
高齢化社会が進行する現代において、多くの家庭で、いずれ介護が必要となるご家族がいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、介護リフォームとバリアフリー化について、工事内容や注意点をご紹介します。

介護保険の支給対象となるリフォームとは
介護保険制度を利用した住宅改修は、介護保険法第45条に基づいて規定されています。対象となるのは、要支援または要介護と認定された方で、在宅生活をされている方です。支給対象となる住宅は、介護保険加入者の住民票が記載された住所地に限ります。
また、新築や増改築で新たに設ける居室は対象外となります。
また、新築や増改築で新たに設ける居室は対象外となります。
介護保険が支給されるリフォームは、主に高齢者が自宅で安全に生活できるようにするための改修工事が含まれます。具体的には、以下の内容が対象となります。

①手すりの設置
階段、廊下、トイレ、浴室などに手すりを設置することで、転倒防止や移動のサポートが可能になります。 |
②段差解消
室内の段差を解消するか、スロープを設置することで、移動がしやすくなり、転倒のリスクが減少します。 |
③床材の変更
滑りにくい床材への変更や段差のないフローリングなど、安全性を高めるための改修が含まれます。 |
④扉の変更
引き戸への変更や、握りやすいドアノブに取り替えることで、開け閉めが容易になります。 |
⑤便器の取替え
和式便器から洋式便器に取り替えることができます。また、洗浄機能や暖房機能付きの洋式便器も対象です。 |
⑥その他、上記工事に付帯する必要な工事
例:手すり設置のための壁の下地補強、便器取替えに伴う給排水管工事など。 |
介護リフォームが必要となる箇所
高齢者や障害のある方が、自宅で安全かつ快適に生活できるようにするため、リフォームが必要となる箇所は多数あります。ここでは、主なリフォーム対象箇所をご紹介します。
玄関・入口
段差解消 玄関の段差をなくす、またはスロープを設置することで、外出や帰宅がスムーズになります。 |
引き戸の設置
開け閉めがしやすい引き戸を取り付けることで、車椅子や歩行器を使う際にも便利になります。 |
トイレ
便器の変更や位置調整 洋式便器に変更する、または座る・立ち上がりやすい位置に調整することで、移動が楽になります。 |
手すりの設置
トイレ内に手すりを取り付けることで、座る・立ち上がる動作を安全に行えます。 |
トイレの広さの確保
車椅子や歩行器を使用する場合、トイレの広さを確保するために間取りを変更することがあります。 |
浴室
浴槽の改修 浴槽を浅くしたり、出入りしやすいように変更することがあります。また、浴槽の高さを低くすることもあります。 |
手すりの設置
浴室内に手すりを設置して、入浴時の安全性を高めます。 |
段差解消
浴室への段差を解消し、フラットな床に変更することで転倒のリスクを減らします。 |
滑りにくい床材の使用
浴室の床に滑りにくいタイルやマットを使用することで、転倒を防ぎます。 |
これらの他にも、廊下、寝室、リビング、キッチン、階段などのリフォームが必要となる場合があります。また、照明やドアの変更なども重要なポイントです。リフォーム内容は居住者の体調や状態に応じて個別に必要となるため、事前に専門家の相談を受けて、最適な改修を進めることが大切です。なお、介護保険を利用する場合は、リフォーム前に自治体での確認が必要です。
介護リフォームの失敗例
せっかく介護リフォームを行っても、設計ミスや配慮不足が原因で、実際に使用する方が不便を感じたり、効果が薄れてしまうこ
とがあります。以下に代表的な失敗例を挙げます。
1.手すりの設置場所が不適切
使用者の動線や身体の状態に合わない場所に手すりを設置すると、十分な支えにならないことがあります。 |
2.トイレのスペースが不足
トイレ内のスペースが十分に確保されていないと、車椅子や歩行器が通れなかったり、体が不自由な状態での動きが困難になることがあります。 |
3.ドアの種類やサイズが合わない
車椅子や歩行器を使用することを考慮していないドアを設置すると、通行が困難になる場合があります。例えば、引き戸やスライドドアが必要なのに、普通のドアが残されているケースです。 |
失敗しない介護リフォームのために
介護リフォームを成功させるためには、まず利用者の身体状況や生活動線を十分に理解し、専門家と相談して具体的なニーズに合ったプランを立てることが重要です。また、実際に使ってみてから調整できる柔軟性を持ち、リフォーム後も定期的に状態を確認しましょう。必要に応じて改善を加えることも大切です。
